近年、運動不足で低体力の子どもと、スポーツを活発に行って高体力の子どもの両極が増えているそうです。
子ども時代に最も発達するのは神経系機能です。神経系機能を発達させるためには、様々な運動を経験させることが重要です。それにより持久力や瞬発力、平衡機能や柔軟性機能など…その他多くの運動機能が身につくと同時に、神経系機能が発達して様々は場面に応じた多様な運動プログラムを形成することができるようになります。
つまり運動神経のよい子どもとは、どんな運動でもすぐにその動作パターンを獲得でき、その分余部をもってその運動を楽しむことができるのではないでしょうか。各運動において、すぐにその動作パターンを獲得することができれば、運動を楽しむ第一歩です!
著書にも「子どもの運動嫌いは、新しい運動を経験したときに、動作を巧みに行うことができず、うまく動くことができない経験から始まるのかもしれません。」とありました。まさにその通りかも…と思いました!(実際に私は今も球技ができないのです…。笑)
スポーツだけでなく、楽器演奏などの英才教育を行うのであれば、幼少期にある特定のスポーツ動作や楽器を使った動作だけを集中的に行うことは効果的かもしれません。
しかし、一生を通じてスポーツや運動、楽器演奏を楽しむための身体能力を身につけていくためには、1つのことではなく様々なスポーツやダンスも含めた運動を経験させることのほうが重要でしょう。
ダンスを長く続けている10代後半以降の人について過去の運動習慣を調べると、ダンス以外の運動経験をもたないダンサーが多いようです。これは、あるダンスの動きが上手になることだけを考える場合には有利かもしれませんが、それ以外のダンスや、その他の運動を行うなどとこれまでかかったことのない部位に大きな負荷が身体にかかった場合、その衝撃から回避するための自然な動きができなくなる可能性が高くなります。
海外の例を見ると、日本に比べるとダンススタジオまでマウンテンバイクに乗ってきたり、オフは水泳や他のスポーツを楽しむダンサーが多いのだそうです。
とある日本のプロサッカー選手チームでも、オフにはエアロビックダンスや他の球技などを行って、動きのコーディネーション能力を高めるトレーニングをしている例もあります。
プロダンサーを目指す子どもたちにとっても、小さい頃にさまざまな運動を経験することは将来プロになった際に、長く・怪我なく・幅広い動きに対応できるダンサーとして活躍することに繋がるのではないでしょうか。
一般に身体の機能は、身体の発育と関係します。
身長が伸びている間は骨がまだ未成熟なため、この時期にあまり過度な負荷を骨や組織にかけることはあまり良いとされません。身長の発育は個人差がありますが、一生で一番急激に伸びる時期が必ずあり、これを「PHV年齢」と言います。それまでに過度な負荷のかかる動きの繰り返しや強度の高い筋力トレーニングや、小さい力でも同じ部位に繰り返し力学的衝撃がかかる運動は避けたほうが良いとされています。
成長期の子どものダンス指導では、同じ種類の動きを繰り返したり、同じ側の動きを繰り返したりする練習などは注意が必要です。だからこそ多様な運動に触れたり、休息時間を意図的に得ることが重要なのです。
「楽しく踊っているダンスによって、子どもの発育が阻害されてはいけない」と、著書にも記載があります。
こういった知識を頭に置いた上で、心身ともに子供の成長を支えられる指導者・サポーターになることを大切にしていきたいですね!
ダンサーなら知っておきたい「トレーニング」のこと 参照
(著:水村真由美/大修館書店)